低燃費タイヤに“オレンジオイル”配合の仰天発想[ヨコハマ ブルーアース]

新世代の低燃費タイヤ「ブルーアース」シリーズは、低燃費とともに高いウエット性能やドライ性能までも両立させています。その秘密のひとつが、オレンジから抽出したオイルを配合させていることにあるというのです。驚きの事実を横浜ゴムの佐藤英俊さんに伺いました。

前代未聞!? タイヤにオレンジから抽出した成分が配合されているという事実

ヨコハマ ブルーアース オレンジオイル配合|モノづくりのココロ
ヨコハマ ブルーアースA|モノづくりのココロ
■ エコタイヤは低燃費ではありますが走りは今ひとつというイメージがあります
従来はそういった先入観がありましたが、「ブルーアース・エース」がそれを払拭したのは確かなウェット性能に加えて、走りの楽しさといったドライビングプレジャーまで実現したからです。その秘密のひとつが「オレンジ」です。

■ オレンジって柑橘系のオレンジのことですか!?
そうです!!!

■ オレンジが新世代の低燃費タイヤにとって重要なキーテクノロジーにかかわっているのですか?
はい。これは横浜ゴムの特許技術で、オレンジの皮から抽出した成分である「オレンジオイル」を利用しています。従来は廃棄されていた皮を利用しているので、地球にも優しいテクノロジーです。オレンジオイルを配合することで、ゴムがしなやかになります。道路は平らに見えますが、ミクロレベルでは微細な凹凸があります。しなやかになったトレッドゴム表面は、そのミクロの隙間に入り込むので実接地面積が増えます。その結果、雨の日のグリップも高めてくれるのです。身近なもので実験できるのですが、膨らませたゴム風船にオレンジ果汁を飛ばすとパンッと割れます。これはオレンジ果汁がかかった部分のゴムが「しなやかになる」ため風船全体のテンションが保てなくなり割れてしまうのです。

■ 一般的にはシリカが配合されていますが、それより優れているのでしょうか?
シリカは燃費性能とウェット性能を高次元でバランスさせる上で非常に重要です。どちらが優れている、ということではありませんが、オレンジオイルの特徴は分子構造が天然ゴムに近く(とても相性がよい)、他の配合剤と比べて無駄な発熱が起きにくい点です。最新モデルの「ブルーアース・エース」ではオレンジオイルを増量し、さらに特性の違う2種類のシリカや低発熱ポリマーなどをブレンドしています。専用ナノブレンドゴムと呼んでいますが、ハイレベルなウェット性能と低燃費性能、そしてトータルバランスを向上しています。

■ 低燃費タイヤなのにドライビングプレジャーまで追求したって本当ですか?
本当です。低燃費タイヤは燃費が良くなるけれど、走りについては少し我慢しなければならない、といった先入観があったと思いますが、それを完全に払拭しました。高速のレーンチェンジでも横滑りが少なくとても安定しています。ちなみに、先ほどのオレンジオイルは世界ツーリングカー選手権(WTCC)に参戦しているマシンのタイヤにも配合されています!


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