ロードスター▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「見た目や外装を重視する」ことについて(写真はカーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー2022で1位になったホンダ ヴェゼル)

性能が◎な現代の車。自由な選択余地は見た目

リクルート自動車総研が行っている「中古車購入実態調査」によると、中古車を購入・検討した際に妥協した項目で「見た目・外装」と答えた人は1割を切っています。改めてやっぱり見た目は重要だ! ということですね。

走行性能や燃費など、数値で示されるものはどれも日進月歩の勢いで進化しています。一方で、デザインの良し悪しは感性に委ねられることが多く、「カッコイイ」の対象も人によって異なります。

ですから、技術が進歩してモノが良くなるほど、及第点を超えているもの同士の比較としてデザインの重要性は高まる傾向にあるのです。

リクルート自動車総研グラフ

とくにSUVは、カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤーでも多数ランクインしており、見た目が重要視されるボディタイプのひとつです。

SUVといえど、今の日本で悪路走破性の良し悪しで比較検討する人は極少でしょう。2WDのモデルも多数あり、見た目で選ばれるケースが多いカテゴリーに成長しています。

カローラクロス ▲カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤーで3位にランクインしたトヨタ カローラクロス(現行型)

特徴があった20世紀の車。中古車こそがオシャレ番長!?

21世紀に入る頃、自動車メーカーはグローバルにアライアンスを組む時代に突入しました。生産や販売の事情が考慮され、プラットフォームと呼ばれる土台や、走りに重要なエンジンなどが盛んに共用されるようになっています。

さらには、空力実験などの数値もデザインにフィードバックされるため、必然と個性的なデザインのモデルが生まれにくい状況です。

また、デザインにとっての天敵とも言えるのが各種の法規制。主に安全や環境に関するものですが、これらによりデザインの変更を余儀なくされることもしばしばです。

例えば、メルセデス・ベンツやジャガーに見られたボンネット上の立体的なエンブレムも禁止となりました。

Eクラス ▲フロントに立体的なエンブレムが採用されていたメルセデス・ベンツ Eクラス(3代目)

ですが中古車、特に2000年代初頭までの車たちに目を向けると、各国の文化や思考を色濃く反映させたモデルが多数存在しています。

SUVが主流となった現在、当時の車たちは目が肥えたみなさんのお眼鏡にもきっとかなうはず!

文/西村泰宏、写真/尾形和美
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。