新型ホンダ ヴェゼルは「ジェネレーションCの生活をアンプアップする」パートナー! 大ヒットモデルの商品企画が語る先代ありきではない車づくり(前編)
2021/07/30
新型ヴェゼルは企画段階から楽しくこだわり抜かれていた!
みなさま、大ヒットモデルであるヴェゼルについては少なからずご存じだとは思いますが、インタビュー内容に入る前に先代ヴェゼルとはどんなモデルだったのかを少し解説しますと。
・2013年12月に発売開始されたクロスオーバーSUV
・2021年4月の現行型発売までに世界で累計384万台を販売
・全長4330mm×全幅1770mm×全高1605mm(マイナーチェンジ後X、Zグレード)なコンパクトサイズが大人気
・新車時187万円~という戦略的な価格設定
・最終的にはツーリング、RS、モデューロXなど、全8グレード(2020イヤーモデル)にわたり幅広く展開
そう、世界中で売れに売れまくった大ヒット、かつ、コンパクトSUVというジャンルを切り開いたと言っても過言ではない革新的なモデルでした。
そのヴェゼルが、初めてのフルモデルチェンジをして大きな変化を遂げましたので、商品企画の背景にあるお話など、ご担当の池田さんに根掘り葉掘り聞いてまいりました。
本田技研工業株式会社 商品企画部
池田さん
2021年にフルモデルチェンジした2代目ヴェゼルの商品企画を担当した。現在はさらに先の未来を見据えたモビリティを企画している。
インタビュアー
カーセンサー編集長 西村泰宏
カーセンサーおよびCarSensor EDGE編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事。愛車はKJチェロキーと986ボクスターの2台にて、SUVとオープンカーのハイブリッド生活中。3児の父として、チャイルドシート、ジュニアシートにはRECARO製をチョイス。好きなものはスニーカー、ハンバーガーとアイス。
では早速お聞きしていきたいのですが、ズバリ、今回のフルモデルチェンジの注力ポイントは?
グランドコンセプトにしている「AMP UP YOUR LIFE」がキーワードです!
アンプアップヨアライフ……なにやら暗号のようにも聞こえますが、その意味するところは何でしょう?
話すと長くなりますが、単純に今の時代に支持される車って何かな? を出発点に考えていったときに、車単体ではなく生活そのものにフォーカスをしておりまして。
先代ヴェゼルは当時クロカンイメージが主流だったSUVというカテゴリーに、力強さを残しつつもコンパクトでスタイリッシュ、そしてミニバン的なユーティリティ性も兼ね備えたモデルとしてデビューしました。
当時は本当に画期的でした!
はい。それを証明するように、販売当初は車好きや従来のSUV乗りの方々よりも、先行層と呼ばれるいわゆる新しいものに興味を示す人たちからの評判が良かったんです。その後、一気に広まっていき、最終的には本当に多くの方に長く愛してもらえるモデルになりました。
ツーリングやモデューロなど精力的に派生グレードも追加されましたし、新型にモデルチェンジする最後の最後まで売れ続けていましたよね!
おかげさまで! そんなヴェゼルだからこそ、先代に対してどうしよう? ではなく、今の時代に支持される車って何か? という出発点で企画はスタートしています。
そこで浮かび上がってきたターゲット像が、「日常の質」とその「向上」を大事にしている「ジェネレーションC」です。
C? ジェネレーションZは最近よく耳にしますがCですか。
Cはジェネレーションとはいえ世代ではなく、クリエイション(創造、挑戦)やキュレーション(情報収集)、コネクション(つながり、共有)、コミュニティ(社会意識、環境配慮)などのキーワードが当てはまる方々をゆるく束ねた呼称です。
なるほど、するとぼくもジェネレーションCですかね……? (自称クリエイティブな編集者! だと思ってはおりますが)
そういうターゲットの心にいかに響くか? という観点で商品を企画していき、「信頼」「美しさ」「気軽な愉しさ」というキーワードにたどり着きました。パッと見て美しいと感じ、乗ってみて安心だと感じていただくのは基本価値として重要視しました。
そして、クリエイティブであるためにはシンプルが好まれるので、それ以外の要素は極力削ぎ落としています。
また、+αの自分らしい価値も大事にしていることが分かったので、削ぎ落とすだけではなく気軽な愉しさを付け加えて具現化をしていきました。人生をより豊かにしていくためのパートナーとして使ってもらえることがヴェゼルのゴールです。
なるほど、まさに「AMP UP YOUR LIFE」となるわけですね!
はい、車単体でなく車がある生活自体のテンションを上げることが役割です。
コンセプトはすごく理解できました。とはいえ、最終的には車という製品に落とし込まないといけないのも事実かと。そして、自動車業界では、FRだ、直6だ、特徴的なグリルだ、と物理的な部分で継承することを求められる風潮もありますが?
分かります。そもそもですがヴェゼルの良さは何か? と問うと、社内でもいろいろな意見が出るくらい多彩な良さをもった車です。でも、個人的にはこのバランスの良さが特徴で、その象徴的なアウトプットがサイズ感かと。
確かに、コンパクトさは先代の圧倒的な人気を支える間違いないポイントですね。
なので、具現化されるものとして先代より継承させているとしたらサイズ感になります。後席の居住空間なんかは先代よりも広くしていますし。
いや、昨今の常識に照らし合わせると、サイズを大きくしないでより良い車をつくるというのは本当にすごいことだと思います!
デザイン的には大きく見えるので、スペックなしで先行発表したときには「ほらヴェゼルも大きくなった」なんてご意見をnet上でも多く見かけました。
はい、画像を見たときもそうですが、実物を見せていただいたときには大きく見えました。
でも、サイズ感は守り切ったので、これは良い意味で期待を裏切れたな!と思いました。
編集部注)現行型ヴェゼルのサイズは、全長4330mm(±0)×全幅1790mm(+20)×全高1590mm(-15)
我々はまんまとやられちゃったわけですねー、悔しい(笑)!
好き嫌いが分かれているようですが、このグリルのインパクトは大きいです! 突っ込んでお聞きしますが、EVっぽくも見えるのは今後グレードやモデル的にパワートレイン拡張されることが決まっているのでは……?
コンセプト部分でお話ししたとおりですが、まず先代ありきではないので変わってビックリということは狙いでもありません。
でも、たまたまではないですよね?
はい、ジェネレーションCをターゲットとしたときに、今の時代に新しいものって思い起こされるのはEVなんかのグリルレスデザインだと思います。なので、エンジン駆動なのでグリルは必要だけどそれらと仲間に見えるようなシームレスなデザインにチャレンジしたということです。
やはり、EVっぽいは正しい反応なんですね! 個人的には「好き」です。グリルはシルバーや黒という既成概念を見事にぶち壊してくれていますから。
チャレンジはもちろん怖いのですがジェネレーションCのキーワードでもありますから。
今までだとホンダアクセスなどの用品側で思い切った提案は担保していたと思うのですが、ノーマルがシームレスで用品側で従来のメッキにも戻せるよって思い切りがスゴイ!
続いてパッケージの部分ですが、後席は少し広くなりました。
元々広かったのに! 池田さんくらい長身でも全く窮屈になってないですね。
削ぎ落としの部分ですが、実はラゲージスペースは数値的にはちょっと狭くなっています。
あら、乗車スペースに割いた分ですか?
それもありますが、必要以上に広くするよりも開口部の形を考えて物を入れやすくしたり、開口高を下げて重い物を積みやすくしたりしています。
昨今のキャンプブームや車中泊ニーズにももちろん応えてますよ!
と言いますと?
新型では全グレードフルフラットにしてスペースを生むことが可能です。
ここまでの前編では、新型ヴェゼルが何にこだわってつくられてきたのかバッチリご紹介いただきました。
後編では大幅にシンプルに整理されたグレードについて、また、最近のホンダに西村が感じる変化について、これまた根掘り葉掘り伺っていきたいと思います!
▼検索条件
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