AMG C63▲当時のSクラスベースのS63と同じV8の自然吸気エンジンを、コンパクトなCクラスに搭載したC63。ちなみに現行型C63 Sの心臓は4L V8ツインターボ。6.3Lという大排気量の自然吸気エンジンなんて、今後はもう出てこない!?

いつかは……なんて言える時間は意外と短い!

電気自動車時代の足音が大きくなるほど、今のうちに乗っておきたくなるエンジン車。中でもハイパフォーマンスカーなんて、サステナブルな世の中になるほど、煙たがられそうだ。「いつかはきっと」なんて憧れている時間も限られてきた。

とはいえ、ハイパフォーマンスカーのプライスタグを見てみると、なかなか手が届きにくいものも多い。

そこで今オススメなのが、新車時の半額以下になってきたメルセデス・ベンツの旧型AMGのモデルだ。いずれも平均の中古車価格が新車時の半額以下まで下がり、総額300万円以下で狙える物件もあるなど、かなりお手頃になってきた。

もともと、メルセデス・ベンツ(当時はダイムラー・ベンツ)のレース用エンジンの開発を担当していた2人の技術者が興したAMG。

1993年のC36 AMGから共同でハイパフォーマンスモデルを開発するようになり、2014年には「究極のハイパフォーマンスモデルを追求するブランド」として「メルセデスAMG」と名称が変更された。今回紹介するのは、メルセデスAMGブランド以前の、AMG時代に登場したモデルとなる。

モーターのアシストが備わるハイパフォーマンスカーなら今後も登場するだろうが、内燃エンジンオンリー車はますます数が減ることが予想される。

それに「もう少し待とう」といっても、中古車の台数はこの先増えるどころか減っていくことが見込まれるし、新規登録から13年以上経った自動車税などの重課税対象車も増えてしまう。だったら今のうちに味わっておくのが正解じゃない!?

ハイパワーを4WDで余すことなく路面に伝える
AMG(メルセデスAMG) A45 4マチック/CLA45 4マチック/CLA45 4マチック シューティングブレーク(初代)

AMG A45 4マチック・CLA45 4マチック▲Aクラスシリーズとしては初となるAMGモデル。ドリフトモードやサーキット走行に適したモードが選べる「3ステージESP」を装備。デビュー時の0-100km/hは4.6秒。2015年11月のマイナーチェンジで4.2秒となった
AMGCLA45シューティングブレ―ク▲2015年11月にはワゴンモデルのシューティングブレークも追加になった
AMG A45 4マチック・CLA45 4マチック▲ヘッドレスト一体型でホールド性の高い本革シートをはじめ、シフトノブやダッシュボードなど所々にレッドのステッチが施される。シフトダウンするとブリッピング機能でエンジン回転数が自動制御されるとともに勇ましいエンジンサウンドを奏でる

旧型メルセデス・ベンツ Aクラスと、Aクラスをベースとする4ドアセダンCLAクラスに用意されたAMGモデルが、2013年に登場したA45とCLA45だ。

メルセデス・ベンツの中で最もコンパクトなAクラス&CLAクラスに搭載されたのは、最高出力360ps/最大トルク450N・mを発揮する2Lターボエンジン。これに可変トルク配分型のAMG 4マチック(4WDシステム)が組み合わされ、パワフルなエンジンパワーを確実に路面へと伝えてくれる。

トランスミッションは、デュアルクラッチの2ペダルMTである7速AMGスピードシフトDCT。他にもAMGスポーツサスペンションやAMGパフォーマンスエグゾーストシステムなど、数々のAMGテクノロジーが備えられた。

ブランド名がAMGからメルセデスAMGに切り替えられた2015年11月のマイナーチェンジで、最高出力は381psへ向上。同時にダンパーの減衰特性をスポーツかコンフォートか任意で選べるようになり、走行モードも「コンフォート/スポーツ/スポーツ+/インディビジュアル/レース」の5つのモードから選べるようになった。併せてCLAのワゴンモデルであるシューティングブレークにもCLA45 4マチックシューティングブレークが設定された。

デビュー時の車両本体価格はA45 4マチックが640万円、CLA45 4マチックが710万円、CLA45 4マチック シューティングブレークが792万円。

原稿執筆時点でA45 4マチックの中古車平均価格は約305万円、CLA45 4マチックは約330万円。どちらも新車時の半額以下となる支払総額300万円以下から狙え、走行距離5万km未満も見つかる。CLA45 4マチックシューティングブレークも、300万円以下とはいかないが、それでも新車時の半額以下となる車両本体価格350万円以下で走行距離5万km未満も狙える。

▼検索条件

AMG(メルセデスAMG) Aクラス A45 4マチック(初代)×本体価格320万円以下×全国

▼検索条件

AMG(メルセデスAMG) CLAクラス CLA45 4マチック(初代)×本体価格350万円以下×全国

▼検索条件

AMG(メルセデスAMG) CLAクラスシューティングブレーク CLA45 4マチック(初代)×本体価格390万円以下×全国

S63と同じ6.3L V8自然吸気エンジンを搭載
AMG C63セダン(3代目)/C63ワゴン(3代目)/C63クーペ(初代)

AMG C63セダン・C63ステーションワゴン▲ベースのCクラスに対し、オーバーフェンダーやAMGグリルなど専用エクステリアパーツを装備。ボンネットにはV8が搭載されていることを示すように2本の峰が走る。ガラススライディングルーフが標準装備。2011年8月のマイナーチェンジ時の0-100km/h加速は4.5秒。写真は2011年8月のマイナーチェンジ時
AMG C63セダン▲本革が用いられたヘッドレスト一体型でホールド性の高いシートが備わり、左右どちらのハンドルも選べた。メーターは320km/hまで刻まれ、ノーマルのスピードリミッターは250km/h。ハイパフォーマンスパッケージを選ぶと280km/hとなる
AMG C63クーペ▲クーペのみ、2011年11月に限定50台で「ブラックシリーズ」が販売された。最高出力517ps/最大トルク620N・mを発揮し、標準でフルバケットの2シーターとなる。さらに、2012年には「ブラックシリーズ」にマットブラックなどが施された「ブラックシリーズパフォーマンススタジオエディション」も限定20台販売された

旧型CクラスをベースとしたC63セダンは2007年10月、C63ワゴンは2008年4月に登場した。搭載されたエンジンは当時のSクラスベースのS63と同じ、AMGが初めて独自開発した、同ブランド最強とうたわれた6.3L V8の自然吸気エンジンだ。

コンパクトなボディのCクラス用に最高出力457ps/最大トルク600N・mへデチューン(S63は525ps/630N・m)されるなど、単にスペックを追求するのではなく、あくまでもレースの知見を生かした、速く走るためのAMGのノウハウがたっぷりと詰め込まれている。

組み合わされるトランスミッションはパドルシフト付きの7速AT。自動ブリッピング機能が備わり、「スポーツ/コンフォート/マニュアル」の3パターンから走行モードを選べる。

2010年5月には、当時のAMGのフラッグシップでありスーパースポーツカーのSLS AMGに用いられた鍛造成形軽量ピストンなどスペシャルパーツが採用され、最高出力が487psに高められた「パフォーマンスプラス」モデルが限定25台で販売された。

2011年8月には、ベースのCクラスが大幅に改良されるとともに、AMGモデルにクーペ版も追加された。同時にトランスミッションが、よりダイレクト感のある7速AMGスピードシフトMCTに改められている。併せて限定販売の「パフォーマンスプラス」と同じ内容のオプションが「パフォーマンスパッケージ」として用意さえるようになった。

C63には、この「パフォーマンスパッケージ」を備えた特別仕様車も販売されている。2012年5月にはマットブラックのエクステリアと赤いリムの19インチアルミホイールが与えられた「パフォーマンススタジオエディション」がセダンに、2013年には標準装備のガラスルーフをノーマルルーフに変更して軽量化された「リミテッド」がセダンとクーペに用意された。

さらに2013年には、「パフォーマンスパッケージ」の内容に加え、熟練マイスターによる専用チューニングによって最高出力507ps/最大トルク610N・mにまで高められた「エディション507」が、セダン・ステーションワゴン・クーペに追加された。

デビュー時の車両本体価格は、セダンとワゴンが1050万円、クーペが1085万円から。

原稿執筆時点での中古車平均価格はセダンが約305万円、ワゴンが291万円、クーペが382万円と、いずれも新車時の半額以下。セダンなら新車時の約5分の1にあたる車両本体価格約200万円から、ワゴンも車両本体価格約220万円から狙える。マイナーチェンジ後の走行距離5万km未満でも400万円以下で、エディション507も600万を切る価格で見つかった。

一方、クーペは新車時の約4分の1にあたる車両本体価格約250万円から狙える。走行距離5万km未満でも350万円以下から探すことができる。

▼検索条件

AMG Cクラス C63セダン(3代目)×本体価格520万円以下×全国

▼検索条件

AMG Cクラスワゴン C63(3代目)×本体価格520万円以下×全国

▼検索条件

AMG Cクラスクーペ C63(初代)×本体価格540万円以下×全国

0-100km/h加速は3.6秒! の4WDモデルも新車時の半額以下
AMG(メルセデスAMG) Eクラス E63(4代目)/Eクラスワゴン E63(4代目)

AMG E63▲デビュー時の0-100km/h加速は4.5秒。大型フロントスポイラーやワイドフェンザー、リアディフューザーなど専用にデザインされたパーツが奢られている
AMG E63▲ノーマルのEクラスよりクイックなAMGスポーツステアリングや、本革が用いられたAMGスポーツシートが備わる。また、サスペンションやドライビングモードの切り替えスイッチがセンターコンソールに配置される
AMG E63▲2013年5月のビッグマイナーチェンジでノーマルのEクラスと同様、エクステリアも大きく変更された。なお、2015年5月からブランド名がAMGからメルセデスAMGに切り替えられた

上記C63と同じ6.3L V8の自然吸気エンジンを搭載した、Eクラスのセダンが登場したのは2009年8月。最高出力は524ps、最大トルクは620N・mとC63より大きく、SクラスベースのS63と同等のスペックを誇る。トランスミッションはC63より一足早く7速AMGスピードシフトMCTが搭載された。2010年2月にはステーションワゴンのE63も追加された。

サスペンションのダンパーの減衰特性は、ドライビングスタイルに合わせて「コンフォート/スポーツ/スポーツプラス」の3パターンから任意に選ぶことができる。オプションの「パフォーマンスパッケージ」を選ぶと、さらにスポーツ性が高められた専用チューニングサスペンションや、コーナリング時のコントロール性を高めてくれるLSDなども選択することができた。

2011年11月のマイナーチェンジで、エンジンが5.5Lへとダウンサイジングされ、ツインターボ化された。車名はE63のままで、最高出力は524psと同じだが、最大トルクは700N・mにまで高められている。また、オプションのパフォーマンスパッケージを選ぶと、最高出力557ps/最大トルク800N・mにまで引き上げられた。

2013年5月には、ベースのEクラスに2000カ所以上にも及ぶ改良が施されたが、同時にE63も大きく改良が加えられた。まず、ハイパワーを確実に路面へと伝えるべく、従来のFRに加えて4WDの「AMG 4マチック」が設定された。トルク配分は前33:後67と後輪重視のセッティングとなっている。

加えてスペシャルモデルとして、新たにセダンに「Sモデル」(FR)が用意された。同モデルは専用チューニングが施され、従来の「パフォーマンスパッケージ」を凌駕する最高出力585ps/最大トルク800N・mを発揮する。

さらに、「Sモデル」の4WD版「E63 AMG 4マチックS」が、セダンとステーションワゴンのどちらにも用意された。セダンは0-100km/hわずか3.6秒を誇り、「セダン最速」がうたわれた。

デビュー時の車両本体価格はセダンが1495万円、ステーションワゴンが1530万円。最速がうたわれた4WDのAMG 4マチックSはセダンが1780万円、ステーションワゴンは1817万円。

原稿執筆時点でセダン、ステーションワゴンとも5台と台数は少ないが、中古車の平均価格はいずれも400万円前後。セダンならAMG 4マチックSでも支払総額500万円以下から狙える。なお、メルセデスAMGブランドでは両車ともほとんど流通していない。

▼検索条件

AMG Eクラス E63(3代目)×本体価格740万円以下×全国

▼検索条件

AMG Eクラスワゴン E63(3代目)×本体価格760万円以下×全国
文/ぴえいる、写真/メルセデス・ベンツ
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディ A4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。