日産 スカイラインハイブリッド ▲いまだ現行車種として販売中の13代目スカイラインだが、ハイブリッドモデルがひっそり終売となっていたことをご存じだろうか

実はひっそりと姿を消したハイブリッドモデル

スカイラインといえば日産を代表する車種のひとつであり、バリエーションからクーペやGT-Rがなくなった現在でもスポーツセダンとしてその存在感は失われていません。

特に13代目となる現行型には、スカイライン史上最強となる405psを発生させる3Lツインターボエンジンを搭載した「400R」が設定され、高い評価を集めています。

ただその一方で、13代目デビュー当初からラインナップされていた3.5Lハイブリッドモデルが、2022年5月にオーダーストップとなり、2022年10月改良後のスカイラインはガソリンモデルのみのラインナップとなってしまいました。

日産 スカイライン 400R ▲405psを発生するスカイライン400Rの心臓部は新型フェアレディZにも採用された

つまり、13台目スカイラインのハイブリッドモデルは新車で購入することができず、購入を検討していた人は中古車という選択しか残っていないのです。

今回は、このスカイラインハイブリッドの今の中古車状況をチェックするとともに、今の狙い目物件を考えてみることにしましょう。

▼検索条件

日産 スカイライン(13代目)×ハイブリッド ×全国
 

日産の技術が詰め込まれたハイブリッドスポーツセダン

はじめに、13代目スカイラインのハイブリッドモデルについて、さくっとおさらいしておきましょう。

2014年2月に登場した13代目スカイラインは、当初ハイブリッドモデルのみのラインナップとなっており、ガソリンモデルは3ヵ月遅れの登場でした。

このハイブリッドモデルは、フーガやシーマのハイブリッドモデルにも採用された、306psを発生する3.5L V6エンジンと電動モーターに2つのクラッチと7速ATを組み合わせるといった、FRレイアウト専用の「1モーター2クラッチハイブリッド」というFRレイアウト専用の非常に凝ったものを搭載。

日産 スカイラインハイブリッド ▲当時としては非常に凝ったハイブリッドシステムを搭載していた

このシステムは、燃費性能の向上はもちろんですが、それ以上にスポーティな走りを実現していたということがポイントです。

同じシステムを搭載した北米仕様のインフィニティM35ハイブリッド(日本名:フーガハイブリッド)が、2011年に0-400m加速で13秒9031という記録を叩き出し、「フルハイブリッド車の世界最速0-400m加速記録」としてギネス世界記録に認定されたほどだったのです。

また、ハイブリッドモデルには4WD仕様も設定されていましたが、これは往年の日産ファンであれば耳なじみのある電子制御トルクスプリット式4WDの「アテーサE-TS」が採用されていました。

そして2019年7月に実施されたビッグマイナーチェンジのタイミングには、前述したスカイライン史上最高出力を誇るガソリンターボエンジンを搭載した「400R」の追加の他、ハイブリッドモデルには運転支援システムの「プロパイロット2.0」を日産車として初めて採用。

このプロパイロット2.0は、高精度な3次元の地図データ、車の周囲の状況を把握するカメラやセンサーなどを連動させることで、作動条件を満たしてドライバーがすぐハンドルを操作できる状況に限り、高速道路の同一車線上での手放し運転や前方車両の追い越しが可能となるというもので、まさに最新鋭の運転支援システムと呼べるものでした。

日産 スカイラインハイブリッド ▲手放し運転が可能となるCMを覚えている人も多いのでは?

しかし、そんなプロパイロット2.0はハイブリッドモデルのみに設定されていたため、残念ながらスカイラインハイブリッドの終売とともに姿を消すこととなってしまったのです(ちなみに、他車種ではアリアと6代目セレナの最上級グレードにのみ搭載中)。

そんな日産肝いりのプロパイロット2.0を搭載したスカイラインハイブリッドが、ガソリンモデルに先駆けて終売となってしまった理由はいくつか考えられますが、まず搭載されている3.5Lエンジンが旧世代のものであるため、今後適用される騒音や燃費の基準を満たすことが難しいということや、半導体不足によってハイブリッドモデルの生産に影響が出ていることなどが挙げられそうです。

そしてハイブリッドシステムも現在日産が推し進めているe-POWERとは異なるシステムであることに加え、セダン受難の時代であることも影響し、ラインナップの縮小の対象となったといわれています。

 

掲載物件の約半数がハイブリッドモデル

前述のとおり、スカイラインハイブリッドは現在中古でしか手に入れることができなくなりましたが、今の中古車状況はどうなっているのかチェックしてみましょう。

執筆時点で、13代目スカイラインの中古車物件は約450台の掲載があり、うちハイブリッドモデルは半数ほどの220台となっています。

価格帯は、車両本体価格100万円を切るものから、500万円超のものまで幅広くなっています。これは、2014年から2022年までと長いモデルライフを誇っていることが影響していると言えそうです。

日産 スカイラインハイブリッド ▲スポーツハイブリッドセダンとしての実力はいまだに一線級だ

最も掲載台数が多いボリュームゾーンの価格帯は、車両本体価格で200万~250万円となっていますが、この価格帯で狙える物件はすべてビッグマイナーチェンジ前のもの、つまりプロパイロット2.0搭載前のモデルとなっている点は注意が必要です。

以上を踏まえ、以下オススメ物件を考えてみましょう。

 

とにかく安価な物件狙いなら「2014~2015年式の走行距離6万km以下」のものを

ビッグマイナーチェンジ前の車両であれば、比較的安価な価格で狙うことも十分可能なスカイラインハイブリッド。

特にデビュー直後の2014年式に近い物件では、総額110万円程度から狙うことができす。

日産 スカイラインハイブリッド ▲想像以上に買いやすい価格帯となっている前期型スカイラインハイブリッド

ただ、これらの物件は10万kmを超えたものが中心となっており、当時バッテリーの耐用年数は最悪な条件下においても10年24万kmを見込んでいるとアナウンスされてはいましたが、バッテリー以外のトラブルの不安が出てくるというのが正直なところ。

もちろん購入後のメンテナンスを見越して、これらの格安物件を狙うのも良さそうですが、ある程度コンディションのことを考えるとしたら、同じデビュー直後の物件でも走行距離6万km以下程度がオススメと言えそうです。

この条件では、約60台の物件がヒット。中には総額150万円程度の物件も見つかり、新車時価格が450万円程度~だったことを考えると、かなりお手頃感が出てきていると言えます。

台数は多くないため、一通りこの条件でチェックし、装備やグレード、ボディカラーなどで絞り込んでいくという探し方が良さそうです。

▼検索条件

日産 スカイライン(13代目) ×ハイブリッド×2014~2015年式×走行距離6万km以下×全国
 

プロパイロット2.0搭載車の中古車状況は?

日産 スカイラインハイブリッド ▲周囲の状況を常にチェックし、一定条件下では手放し運転が可能となるプロパイロット2.0

プロパイロット2.0が欲しくてスカイラインハイブリッドを選びたいという人も多いことでしょう。

プロパイロット2.0は、前述したように2019年7月に実施されたビッグマイナーチェンジ時に、ハイブリッドモデルの全グレードに標準搭載されています。そこでビッグマイナーチェンジ後の後期モデルに絞って検索すると15台がヒット。

フロントグリルのエンブレムが、インフィニティマークから日産マークに代わったものが後期型なので、そこで見分けると良いでしょう。

日産 スカイラインハイブリッド ▲ビッグマイナーチェンジ前のスカイラインはインフィニティのエンブレムを装着していた

そんなプロパイロット2.0搭載車の中古車の状況ですが、安いものでは総額300万円を切る物件も存在しています。しかし、それらは年式からすると多走行気味であったり、修復歴があったりするものが中心となっており、万人にはオススメしにくいというのも正直なところ。

総額350万円ほどにすると、ディーラー系中古車店で販売される保証付物件も射程圏内となります。新車時はベースグレードでも乗り出し600万円近い価格だったことを考えれば非常にリーズナブルと言えるため、まずはこのあたりの予算でチェックしてみると良いでしょう。

ただし、前述のとおり中古車掲載台数は少ないため、ざっと掲載物件全体を見渡して、気になる物件があったら早めにアクションすることが肝になりそうです。

▼検索条件

日産 スカイライン(13代目) ×後期モデル×ハイブリッドグレード×全国

今回は日産渾身の先進技術を搭載するビッグマイナーチェンジを実施しながらも、世界情勢の影響などもあって早々に姿を消すこととなってしまったスカイラインハイブリッドをチェックしてみました。

ただ、プロパイロット2.0搭載車としてみれば短命に終わったとも言えますが、ハイブリッドモデルとしては2014年から長きにわたって販売されてきたモデルとも言えるので、スポーティかつ上質なハイブリッドセダンを探しているのであれば、前期型含め候補に入れてみるのもアリと言えそうです。

▼検索条件

日産 スカイライン(13代目)×ハイブリッド ×全国
文/小鮒康一 写真/日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。